心不全は、一言で言えば「血液の渋滞」です。例えば高速道路で事故が起きて、大渋滞したとしましょう。すると道路から車があふれ、はみだしてしまいます。
心臓のポンプ機能に問題がおき、血管を流れる血液が渋滞すると、心臓の直前にある肺に水があふれてしまい、呼吸に支障が生じ、息切れや呼吸困難が生じます。これが左心不全です。さらに肺の渋滞が心臓の右側を超えて全身におよぶと足やまぶたが浮腫んだりします。
これが右心不全です。
心不全治療の考え方はシンプルで、渋滞している血液を取り除くために、利尿薬をつかって水を抜いてしまうのです。これでひとまず呼吸が楽になり、足やまぶたの浮腫も改善します。
しかし、そもそも渋滞を起こした事故が解決していませんね。この事故が心筋梗塞や拡張型心筋症、弁膜症、不整脈のような心臓病なのです。当然、こちらにも治療を施さなければなりません。原因を見極めるために有用かつすぐに行えるのが
- 病歴
- 聴診など身体所見
- 心臓エコー検査
- 心電図や胸部レントゲン検査
- 血液検査
となります。
特に心臓エコー検査は放射線被ばくがなく無痛なのに、得られる情報が多彩かつ豊富で、私達循環器内科医にとっては大変心強いツールなのです。
- 階段を登るといつも息切れや胸の締め付け感がある
- 胸や背中が圧迫されるような痛みがある
- 以前よりも動悸が増えた
といった症状があるようでしたら、一度ご相談くださいね。
シンシア医師