ミチーガと言う注射薬をご存知でしょうか。
今回は、ミチーガの特徴や改善例をお伝えします。
「ミチーガ皮下注用 30mg バイアル」は、 既存治療で効果不十分な「アトピー性皮膚炎に伴うそう痒」(6歳以上13歳未満の小児)および、「結節性痒疹」(成人及び13歳以上の小児)の効能・効果で2024年3月26日に製造販売承認を取得している薬です。
小児のアトピー性皮膚炎(6歳以上13歳未満)の症状は、小児患者さん本人の睡眠障害だけでなく、学業・社会生活面や精神面 、睡眠不足による低身長などとも関連があることが示唆されています。
さらに、小児のアトピー性皮膚炎は【保護者】にも影響を及ぼし、保護者の睡眠障害、抑うつ・不安、仕事への影響、患児の将来に関する心配などと関連があることが知られています。
ミチーガは、既存治療を実施したにもかかわらず、中等度以上のそう痒(かゆみスコア3以上)を有する6歳以上13歳未満の日本人のアトピー性皮膚炎患者に対して、投与開始16週後のQOLを示すCDLQI合計スコアがベースラインから2.5以上改善したことが認められました。
アトピー性皮膚炎の痒みにお悩みの患者さんに、ぜひお役立ていただけますと幸いです。
アトピー性皮膚炎では皮膚のバリア機能が弱まっているため、外からの異物(刺激物質・アレルゲンなど)が皮膚の中まで入り込みやすくなっています。
そうするとかゆみや炎症などの原因となる体内の物質が増加し、かゆみなどの症状を引き起こします。かゆみのために皮膚をひっかくと、かゆみが抑制されるのではなく逆にかゆみが増強されます。ひっかくことによりその部位の皮膚は傷つき、さらにバリア機能が弱くなり、炎症やかゆみをまねくという悪循環に陥ります。
この悪循環はイッチ・スクラッチ・サイクル(かゆみと搔破[そうは:皮膚をかくことの悪循環)と呼ばれ、アトピー 性皮膚炎が長引き、悪化する原因となります。
アトピー性皮膚炎の治療ではステロイド外用剤やタクロリムス外用剤、保湿外用剤などさまざまな薬物治療が行われ「炎症」「皮膚のバリア機能の異常の低下」を防ぐことができました。ここに「かゆみ」の原因物質のはたらきを直接的に抑える薬であるミチーガという注射剤が新たに加わりました。ミチーガはアトピー性皮膚炎の炎症やかゆみの原因となる物質のうち「IL-31(インターロイキン31」のはたらきをブロックする世界初、また日本発の分子標的薬です。
※名称の由来:Mitchga(ミチーガ) Mitigate(軽減する)+Itch(かゆみ)より命名。
ミチーガは通常、4週間に1回ずつ皮下注射します。薬液量が少ないのが特徴です。
ミチーガを使用できる患者さんは従来のアトピー性皮膚炎の治療薬である炎症を抑える塗り薬及び抗アレルギー剤を使用して治療を一定期間行っても、かゆみが改善しない6歳以上のアトピー性皮膚炎の患者さん(※かゆみスコア3以上、EASI10以上)が使用できます。
下記の【かゆみスコア】で客観的に判断可能です。
例:日中はかなりかゆく人前でもかく、夜間はかゆくて目がさめるような方
:夜のかゆみで眠りが浅く、日中に眠たくなる方
注意点
● かゆみがおさまっても、処方された他の治療薬は主治医の 指示通りにしっかり使用してください。
● ミチーガはアトピー性皮膚炎のかゆみをおさえる薬です。ステロイド 外用剤、タクロリムス外用剤、デルゴシチニブ外用剤、ジファミラスト 外用剤、保湿外用剤など、アトピー性皮膚炎の他の症状に対する治療 は中止しないでください。
● ミチーガ治療中も、保湿外用剤で皮膚を保湿するようにして ください。
● ワクチンを投与する場合は、ミチーガ治療中であることを必ず 医師に伝えてください。また、他の医療機関を受診する際も、 ミチーガ治療中であることを伝えてください。
かゆみによって困っていることがございましたら気軽にご相談ください。
よろしくお願いいたします。
※接種開始は初診後の翌週に開始可能です。
亀戸シンシアクリニック 皮膚科医師
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