手のひらから汗が出る「手掌多汗症」の治療薬アポハイドローション

日常生活に影響を及ぼすほどに手のひらから汗が出る「手掌多汗症」と治療薬について解説します。

手の多汗症とはどのような病気でしょうか？

気候や運動とは関係なく両手のひらにたくさん汗が出て日常生活に支障をきたす病気を『原発性手掌多汗症』と言います。患者さんは国内で約493.1万人いると推計され、 決して珍しい病気ではありません。多くは10代頃(平均発症年齢13.8歳)に症状が現れはじめ、学校生活にも支障をきたしていることもあります。

この疾患による症状に悩んでいても病気として認識されていないことも多いのが特徴です。多汗症は皮膚科での治療が可能な病気です。以下のチェック項目に2つ以上当てはまる人は、手掌多汗症の可能性があります。まずはご自身が手掌多汗症かどうか、セルフチェックしてみましょう。

原発性手掌多汗症にはどのような治療法がありますか？

原発性局所多汗症診療ガイドライン 2023 年改訂版ではまず、塩化アルミニウム液の概要やイオンフォレーシスを行い、改善効果に乏しい場合ボツリヌス毒素局所療法を実施することが勧められています。ただし、塩化アルミニウム液による治療は自費診療であり、イオンフォレーシスは実施できる施設が限られる問題がありました。
今回国内初のアポハイドローション20%が発売されたことにより、治療の選択肢が大きく増えました。

アポハイドローションとはどのような薬ですか？

手のひらに使用する塗り薬で、皮膚から吸収されることで発汗を促す物質をブロックすることで過剰な発汗を抑えます。投与4週間後には発汗量は約半減し、約2/3の方が多汗症の重症度の改善が認められています。

手の汗の悩みをお持ちの方は、まず医師に相談してみましょう。

シンシア医師